JA埼玉みずほ

金融機関コード 4859

税務相談

質問

 消費税は税率が5%から10%に引き上げられましたが、仕事や生活にどんな影響が想定されますか。
 駆け込みで契約等を進められるのはいつまでですか。また、今からやっておくべきことがありますか。

回答

消費税ってどんな税金か

 消費税は、物を購入したり賃借したとき、サービスの提供を受けたときに老若男女を問わずすべての国民が負担する税金です。事業者(納税者)も仕入れをする時に5%の消費税を支払っていますが、売上の際に受け取る消費税から控除して納税することから、最終的な負担者は消費者ということになります。課税売上高が一千万円未満の免税事業者の存在、仕入税額の計算の負担を軽減するための簡易課税制度などによって消費者が負担した消費税が全額国庫に入らない現象(益税)が発生することから、免税事業者の要件や仕入税額控除の制度の見直しがおこなわれているところです。

免税事業者になるかどうかの判定

 個人の事業者の場合、その年の前々年の課税売上高が一千万円以下であれば、その年は免税事業者として消費税の納税義務が免除されることになっていましたが、平成23年度の税制改正により、平成25年分からはその年の前年の半年間(1月1日から6月30日)の課税売上高が一千万円を超えると、その年は課税事業者になりますので留意してください。

課税売上割合が95%以上でも

 消費税の納税額を計算する場合、総売上高のうちに占める課税売上高の割合が95%以上の場合は課税仕入等の税額の全額を控除できることになっていますが、課税売上高が5億円を超える事業者についてはその適用されないことになりました。つまり、課税売上高に対する消費税額から控除できるのは、課税仕入等の消費税額のうち課税売上に対応するもの(個別対応方式)か課税売上割合に対応する部分(一括比例按分方式)のどちらか大きい方を選択することになります。

税率が10%に引き上げられます

 経済状況の好転等を総合的に判断し所要の措置を講ずるという附則をつけて、社会保障の安定財源づくりなどを目的に消費税の税率を平成26年4月1日から8%(地方消費税を含む)へ、平成27年10月1日からは10%へと二段階で引き上げることが決まりました。平成27年10月1日からは、千円の買い物をすると百円の消費税が上乗せされるわけですから、消費者は税込みで売る店(千円で買える店)を選ぶなど買い物は慎重にならざるを得ません。 事業者にとっても千百円(税別)で売れば千円の手取りになるのに対して、税込ですと手取りは909円になってしまい91円の値引(持ち出し)をしたことになります。

5%の税率が適用される経過措置

 そこで、増税前の駆け込み需要が予想されることから、消費税率の引き上げにあたっては契約の実態などを踏まえて一定の経過措置がとられています。たとえば、飛行機の搭乗券や電車の乗車券、前売り入場券などを平成26年3月31日までに購入して平成26年4月1日以後に利用する場合、平成26年4月30日までに利用料金が確定する電気やガス・水道料金などには旧税率(5%)が適用されます。平成25年9月30日までに建築等の請負契約を締結して平成26年4月1日以後に完成引渡しを受ける場合、平成25年9月30日までに一定の賃貸借契約を締結して平成26年3月31日までに貸し始め、平成26年4月1日以後も引き続き貸し付けている場合には5%の旧税率を適用することができることになっています。

26年4月1日までに何をすべきか

 平成元年4月1日に3%で始まった消費税は、平成9年4月1日には5%に引き上げられて15年になりました。景気の動向などから5%の消費税を前提にした売値や原価が定着しそうです。消費税の増税分をどこに転嫁するか、総額表示の値札の付け替え、仕入れや棚卸の改善、会計やレジシステムの変更などを今から準備をしなければなりません。出荷日による旧税率と新税率の選択、伝票整理、税額の控除に影響する売掛金や買掛金の締切日を明確にしておくこと。 1年足らずのうちにやってくる「値下げ競争」に打ち勝つためには、より良い物をつくり売り方を工夫すること、冗費を切り捨てること、今ある資源を利活用することなど仕事の全面的な見直しが必要です。