JA埼玉みずほ

金融機関コード 4859

税務相談

青色専従者給与の疑問点

 家族労働に支えられて主穀と野菜を生産している農業者です。青色事業専従者は妻のほか両親と長男、それに今年6月に結婚する長女の5人です。

問1

 両親はどちらも85歳ですが、農作業に従事し栽培管理を担当しています。給与を今年から毎月5万円ずつ増やしたいと考えていますが認められますか?

問2

 長女は5月末まで従事しますが、6か月を超えて従事できません。青色事業専従者として認められますか。結婚前の専従者給与として100万円を支給する予定です。結婚後は私と生計は別になります。今年分の夫の所得税の計算上、長女は夫の控除対象配偶者になれますか?

問3

 今年は専従者給与が事業の所得よりも大きくなりそうです。事業がマイナスになっても専従者給与を必要経費にすることができますか?

問4

 事業者の所得が38万円以下になったときは長男の扶養親族になれますか?

問5

 長女は専従者として15年間働いてくれたので退職金を出そうと思っていますが、必要経費に計上することができますか?

回答

答1

 (親族が事業から受ける対価について)

 所得税を計算するうえで、事業者と生計を一にする配偶者その他の親族がその事業に従事したこと、資産の賃貸借を行ったことなどにより事業から給料や賃料等を受け取ったとしても、これを事業者の必要経費に計上することはできないことになっています。当然受け取った親族もこれらを収入に計上する必要はありません。

 その例外として、青色申告者が事業専従者に支払った給与については、税務署長に届け出た金額の範囲内で労務の対価として相当と認められる額を必要経費に算入することができることになっています。専従者給与は家族の事業への貢献と労働を正しく評価しようとするもので、相続対策としても意義のある制度です。

(青色事業専従者になれる人)

 青色事業専従者になれる人は、青色申告者(事業者という)と生計を一にする配偶者その他の親族でその年12月31日現在で年齢が15歳以上であること、その年を通じて6か月(一定の場合は従事できる期間の2分の1)を超える期間、事業者が経営する事業に専ら従事する者です。したがって、年齢制限等を規定したものではなく、ご両親が一般の人と変わらない作業能力を有し仕事を遂行している場合は専従者になることができます。したがって、給与については心身の障害等により作業に支障のない限り適正額が認められることになります。

答2

 長女が結婚のために5月いっぱいで専従者をやめた場合でも、結婚前の期間を通じてその2分の1を超えて専ら事業に従事している場合は、事業専従者としての給与の額は農業所得の必要経費に算入することができます。

 結婚により娘さんはあなたと生計を一にしないことから、娘さんのその年中の所得が専従者給与(100万円)のみであれば、夫の控除対象配偶者に該当し、配偶者控除(38万円)の適用を受けることができます。

答3

 労務の対価としての専従者給与は毎年ほぼ定額であるのに対し、経済活動としての農業所得は市場等の環境に左右され大きく変動することから、農業所得が専従者給与を下回ったり赤字に転ずることも考えられます。

 青色事業専従者給与が適正額である限り、農業所得の金額の計算上必要経費に算入することができます。

答4

 事業者や事業者と生計を一にする親族は、事業者から給与を得ている青色事業専従者を扶養親族とすることはできません。一方、事業者の合計所得金額が38万円以下になった場合は、事業専従者である長男の扶養親族になることができます。

答5

 農業所得の金額の計算上必要経費に算入される青色事業専従者給与は、当該専従者が事業に従事していた期間内に受けるべき給与、賞与、諸手当であって、退職金として支給したものを必要経費に算入することは認められません。

(税理士 西田 芳秋)