JA埼玉みずほ

金融機関コード 4859

税務相談

質問

 長男は3年前に自己資金と住宅ローンで居宅を新築しました。今年になって会社が解散し、借入金の返済ができなくなってしまいました。月々の返済を親が肩代わりしたとき、親が土地を売ってローン残金を一括返済したときは、長男に贈与税がかかるのでしょうか。

 二男は今年の秋、結婚するので、居宅を新築することになりました。子の独立という節目だけに親としてできる限りの支援をしたいと考えています。相続税や贈与税の負担が少なくて済む方法がありますか。

回答

長男の住宅ローンの肩代わりをしたとき

 子の住宅ローンの返済を親が肩代わりしたときは、肩代わりしてもらった借入金の元利金は親から贈与されたものとみなして、贈与税が課税されることになります。

 ただし、子が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、子の扶養義務者によって弁済されたものであるときは、贈与税は課税されないことになっています。

 この場合、肩代わりされた住宅ローンは子が弁済したことになりますから、子は住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。

 なお、子に住宅ローンを返済する能力が全くなく、金融機関から連帯保証人として返済を求められた親が土地を売って弁済するも、子に求償(請求)できなかった弁済金に相当する金額は、譲渡所得の金額の計算上なかったものとされます。

二男の住宅取得と相続税・贈与税

 子の住宅取得にあたって、その取得資金を親が貸し付けるか、将来面倒を見てもらうことを期待して贈与するか、建物を親の名義で取得する方法が考えられ、大切な老後の蓄えをどう生かすか迷うところです。

 親子の金銭の貸借は「ある時払いの催促なし」とか「出世払い」など返済期限がなく、利息の取り決めのないものが多く、みなし贈与とされたり、換金性のない貸付金が相続財産とされるなど節税効果は全く期待できません。

 子や孫の住宅取得を促すものとして、住宅取得資金の贈与の特例が平成24年度の税制改正案に盛り込まれました。

 父母や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合、省エネ・耐震住宅の場合、平成24年分は1,500万円、25年分は1,200万円、26年分は1,000万円まで非課税とされています。

 この特例は、相続開始3年以内の贈与であっても、相続財産に加算する必要がなく相続税の節税など生前対策の効果に優れた制度です。

 さらに、相続時清算課税制度を活用して必要な資金を贈与することができます。

 相続時精算課税制度は、65歳以上の父母から20歳以上の子へ2,500万円まで無税(2,500万円を超える部分には一律20%の贈与税がかかります。)で贈与することができますが、親の相続時には贈与された財産を贈与された時の価額で相続財産に加算して相続税額を計算し、納めた贈与税額を精算するしくみです。

 この制度は相続財産を減らすことにはならず、将来値上がりする財産を贈与した場合に相続税の節税効果が期待できます。

 また、住宅取得の資金を贈与する代わりに、親が建物の一部又は全部を取得して、子に住まわせる使用貸借の方法も得策です。

 親が建物を取得した場合は、相続財産としての建物の評価額(固定資産税の評価額で評価)と建築資金として支出した預貯金との差額が生じて相続税の節税になるからです。

 それでも、住宅取得資金の贈与の特例を使って、1,500万円まで贈与し、残余の資金も親が負担すれば、贈与効果と建築効果が得られます。

 なお、使用貸借では親が子に建物を無償で貸し付けるもので、子は建物と敷地に係る固定資産税を負担しなければなりません。

(西田税理士)