「18歳で購入契約。取り消したい…|成年年齢引き下げ前は解約可能」
質問
2022年3月28日、私(18歳)は、大学受験に落ちた憂さ晴らしに中古のバイクを50万円で買いました。そうしたところ、両親から浪人生がバイクを乗り回すなんてけしからんとひどく怒られました。言われてみればもっともだと思ったので、お店にいってキャンセルしようと思います。しかし、スマホのニュースでは今年の4月から18歳も成人だから1人で契約できると聞きました。私はもうこの契約を取り消すことはできないのでしょうか。
回答
未成年者は、法定代理人の同意を得て契約などの法律行為をするのが原則です(民法5条1項本文)。同意のない法律行為は、未成年者自身または法定代理人において取り消すことができます(民法5条2項)。そして、今年の3月31日までは、年齢20歳、つまり20歳の誕生日をもって成年とされていました(改正前民法4条)。
しかし、民法改正により、今年4月1日からは、年齢18歳をもって成年と定められました。(改正後民法4条)。そして、今年の4月1日の時点で18歳以上20歳未満の人は、同日に一斉に成年に達することとされました(平成30年6月20日法律59号改正附則2条)。これは、誕生日がいつであるかは関係ありません。
あなたが成年になったのは今年4月1日ですから、今年3月のバイクの売買契約は未成年者による取引です。したがって、今年4月になってからでも、あなたはこの契約について取り消しができます。取り消すことをお店に文書で通知するとよいでしょう。
なお、取り消し後は、すでにバイクや代金を受け取っていたなら相手方に返還します。このとき、もしバイクにキズをつけてしまっていたとしてもそのまま返還すればたります(民法121条の2)。
「元夫に養育費を決めた通り支払わせるには? |履行勧告や情報取得の手続き利用を」
質問
5年前、私は元夫Aと調停で離婚し、今は、小学生の子と2人で暮らしています。離婚調停では、Aが毎月5万円の養育費を支払うと決まりましたが、Aは、1年前から養育費を一切支払わなくなってしまいました。Aは、婚姻中は会社勤めでしたが、離婚後に転職したようで、現在のAの勤務先はわかりません。また、Aの預貯金の有無もわかりません。Aに養育費を払わせる方法はありませんか。
回答
調停で養育費の取り決めをしたのなら、その家庭裁判所に対して履行勧告や履行命令の申し出をしましょう。家庭裁判所は、Aに対して、養育費を支払うよう勧告または命令してくれます(家事事件手続法289条、290条)。
それでもAが養育費を支払わない場合は、民事執行法の新しい制度である第三者からの情報取得手続でAの財産を探すと良いでしょう(民事執行法204条以下)。
調停調書などの強制執行できる書類があり、判明しているAの財産では完全な弁済を受けられない等の要件が整えば、Aの住所地を管轄する地方裁判所に申し立てができます。この申し立てにより、市町村からは、Aが給与を受けていれば給与支払者の情報を、金融機関からは、Aの預貯金が有ればその内容を取得することができます(同法206条、207条)。但し、市町村から給与支払者等の情報を得るには、先に、財産開示手続(同法196条以下)という別の手続きをする必要があります。
養育費は、既に支払期が来た分だけではなく、将来の養育費も差し押えできるので(同法151条の2の1項3号)、Aの勤務先を調べて、給与を差し押える効果は高いでしょう。これらの手続きを自分でするのが難しいときは、近くの弁護士に相談してみましょう。
(弁護士 長島佑享)