離婚して半年後に出産した子の父は?前夫相手に調停申請
質問
私は夫と2年間別居した後、正式に離婚しました。離婚してから6ヵ月後、他の男性との子を出産しました。出生届を出すと、前夫の子として扱われると聞きましたが、本当ですか。
回答
子どもを出産すると、14日以内に出生届を出さなければならず、これを怠ると5万円以下の過料に処せられることがあります。
離婚成立後300日以内に生れた子は、婚姻中の夫婦間にできた子と推定されます(民法772条)。このため、他の男性との子であっても、夫婦間の子つまり前夫の子として戸籍に記載されます。
しかし、別居等により、離婚後300日以内に夫の子を妊娠する可能性のないことが客観的に明白な場合には、例外的に夫の子とは推定されません。従って、その場合には、前夫を相手に親子関係不存在確認の調停、調停が不成立のときは親子関係不存在確認の訴えを提起し、前夫の子でないことを認定してもらえば、戸籍の訂正をすることができます。
なお、出生届を出すと前夫の子として扱われるため、出生届を出さないケースも見受けられます。その場合、調停又は裁判で親子関係不存在の認定を得たうえで出生届を出せば、戸籍はそれに沿って記載されますので、前夫の子として扱われることはありません。出生届を出さなくても(無戸籍児童)、児童手当等福祉行政上のサービスを受けることはできます(詳しくは市町村窓口にお尋ねください)。
減った亡父の貯金 ?遺産分割どうなる?入出金調べ使途解明
質問
先月、父が亡くなり、父の貯金を調べたら、予想外に少ないので驚きました。父と同居していた弟が勝手に下ろして使ったのだと思います。このような場合、父の遺産分割において、どのように対処したらよいですか。
回答
遺産分割は、被相続人が死亡時に有していた財産を、相続人間で分ける手続です。従って、死亡前に引き出された預貯金は遺産分割の対象外であり、死亡時に現実に残されている残高にもとづいて分けることになります。
ただ、死亡前に引き出された預貯金が特定相続人に贈与されたものである場合には、これを特別受益として計算上遺産に加えて遺産分割をすることができます。
弟が父の預貯金を勝手に払い出して使ってしまったという場合、それは弟の不法行為ですから、弟に対する損害賠償請求権または不当利得返還請求権が父の遺産として存在し、この請求権を各相続人が法定相続分に応じて取得します。このような金銭請求権は、遺産分割協議を経なくても、各相続人は、弟に対して法定相続分相当額の支払を請求することができます。
ただ、この場合に問題なのは、弟が父の預貯金を勝手に払い出したことを、どのように調査し、証明するかです。まず、父の預貯金がいつ、いくら引き出されたかを調べます。戸籍謄本等で相続人であることを証明すれば、金融機関は預貯金の入出金明細(取引履歴)を開示してくれます。これにもとづいて払戻時の払戻伝票の提出を求め、払戻伝票上の署名が弟の筆跡であることが確認でき、かつ、払戻金の使途について合理的説明ができない場合には、弟が払戻金を不当利得しているといえるでしょう。