ナバナ 春に先駆けて季節を味わう
園芸研究家●成松次郎
ナバナは童謡でも歌われる春の花。種子から菜種油を採取し、つぼみと若い茎葉を食べる野菜です。味に癖がないので、サラダやあえ物、おひたしなどでいただきます。晩夏から初秋に種まきし、年内から早春に収穫します。
品種
和種と洋種の2種類があり、和種は葉色が黄緑で花茎とつぼみと葉を利用し、洋種は葉色が濃く、主に花茎と葉を食べます。和種には、早生品種に「秋華」(タキイ種苗)、「早陽一号」(サカタのタネ)、「CR京の春」(丸種)、中晩生品種に「花飾り」(サカタのタネ)、「CR華の舞」(丸種)などがあります。洋種には、「三重なばな」や「のらぼう菜」などがあります。
畑の準備
種まき、または植え付け2週間前に、1平方m当たり苦土石灰100gをまき、深く土を耕しておきます。1週間前に畝幅60~70cm、幅20cmくらい、深さ15cmくらいの溝を掘り、この溝1m当たり元肥として化成肥料(NPK各成分10%)100g程度と堆肥2kgを施して土を戻し、くわでまき床が平らになるようならします(図1)。
種まき
じかまきでは、まき溝全体に2、3cmくらいの間隔に種まきします(図2)。覆土後に十分灌水(かんすい)し、べたがけ資材で覆って発芽や幼苗を保護します。なお、苗作りをする場合、9cmポリポットに5、6粒まき、2回に分けて間引きして本葉5、6枚の苗に仕上げ、株間20cm間隔で畑に植えます。
間引きと追肥、土寄せ
じかまきでは、1回目は本葉2、3枚時に株間5、6cm、2回目は本葉5、6枚時に株間10cmくらいに間引き、さらに本葉10枚時に株間を20cmくらいにします(図3)。最後の間引き後、畝の長さ1m当たり化成肥料30g程度をまき、軽く耕し、土寄せをしておきます。その後、1カ月に1回の割合で同様に追肥をします(図4)。
病害虫の防除
生育初期は防虫ネットで被覆し、その後アブラムシには粘着くん液剤など、アオムシ、コナガにはアファーム乳剤、トアロー水和剤CTなどを使って防除します。
収穫
とう立ち後、和種ではつぼみが膨らんできたら、開花前に先端15~20cmを収穫します。洋種では本葉15枚くらいで上部を摘心し、脇芽を伸ばし、先端を20~25cmで収穫します。いずれも、各節から多数の脇芽を同様の長さで収穫します(図5)。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
成松次郎(なりまつじろう)
神奈川県農業技術センター等で野菜の研究と技術指導に従事後、(一社)日本施設園芸協会で施設園芸及び加工・業務用野菜の生産・流通振興に携わる。現在、園芸研究家。