ナスの健康診断のすすめ
皐月(さつき)の日差しを受けて、ナスは紫黒で形ぞろいの良い果実が連続して収穫できるようになります。しかし次第に株の勢いが弱まり、実どまりが悪く収穫が減って、品質も悪くなってきます。
それは、「成り疲れ」で育ちが不調になってきたからです。
私たちが人の顔色やしぐさを見れば、お互いの健康状態を推測できるように、ナスの健康状態も、草姿や葉色、花などをよく見れば、早期に判断することができます。
ナスの健康のバロメーターは、図のように、花のつく位置と花の形、葉や花の大きさと色具合です。特に、雌しべが雄しべより短い「短花柱花」が現れると、これらはほとんど実どまりせず、落花してしまいます。
昔のことわざに「ナスの花には千に一つのあだがない」といわれたのは、雄雌同花で、雄花・雌花の区別がないことと、比較的よく着果するためです。実際には、下手をすると一生のうち、3?4割以上も落果してしまうのです。
不健康の症状をできるだけ早く発見し、早めに対策を講じておけば、落花や不良果の発生を軽減でき、良果多収を達成することができます。
対策としては、まず果実を若取りして、株の負担を軽くすることです。同時に追肥で栄養を補給し、硬くなった通路付近の根が伸びる場所にくわを入れて通気を良くし、乾いていたらかん水や、敷わらをします。
こうすれば数日を経ずして草勢に回復の兆しが現れ、健全な長花柱花が多く咲くようになるでしょう。茎葉もしっかりして、開花位置より上に数枚以上の開いた葉が見られるようになってきます。こうなればよく実どまりし、果実の太りも早まって、色つやの良い果実がたくさんとれるようになります。
「成り疲れ」はナスの一生のうちに3?5回も現れるので、常に観察を怠らないで、適切な対策を講じてください。
生育盛に入り、茎葉が込み過ぎると、日射不足のため果色が悪くなり、病害虫も発生しやすくなります。そのため、果実に木漏れ日が当たるぐらいに枝を整理したり、摘葉したりすることも大切です。また、アブラムシ、スリップス、場所によっては大敵なチャノホコリダニなどの葉剤散布も欠かせません。